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EQIでたどる5年間のアップデート ― 数値に表れた“見えない成長”―

EQ+LAB.編集長の杉山夕希子です。
このたび、5年ぶりにEQI検査を受けてくださったSlalomの知花里香さん。そのアイズプラス福島によるフィードバックの場にご一緒させていただきました。
検査結果を通じて見えてきたのは、「ありたい姿」に確実に近づいている知花さんの姿と、それを裏付ける行動量の数値化、そしてご自身による深い言語化の力。
まさに、EQIを“意味あるかたちで活用する”とはこういうことだと感じさせてくれる、とても印象的な時間でした。その様子を知花さんの許可を得て、杉山がレポートします。

自己主張は上がり、下がったのは共感力?

4年前に転職し、現在は外資系のコンサルティング会社に勤めている知花さん。 ロジカルに意見を伝えることが求められる環境のなか、「結論から話す」「はっきり意見を伝える」といった自己表現を意識的に磨いてきたといいます。

その成果は、EQIのスコアにもはっきり表れていました。 【自己表現力】や【対人関係】の数値が上昇し、ご本人も納得の結果。けれど、そんな“陽のエネルギー”が強い職場にいても、「ヤドリギのような人になりたい」という「ありたい姿」は、知花さんの中でずっと大切にされていました。

そこにいて、そっと寄り添える存在。誰かが頼りたくなったときに、自然と相談したくなるような空気をまとう人。
その理想と向き合ったとき、今回のEQI結果で目に留まったのが【共感的理解】のスコアでした。
「自分の変化にいっぱいいっぱいだったのかもしれません。自己主張が強くなった分、誰かの気持ちを自然に汲み取る余裕が減っていたのかも。」
そんな内省が、知花さんの中に芽生えているように感じました。

「ヤドリギのような人」になるために

EQIを受けたことで、知花さんが感じたのは「何をどう気にするか」が大切だということでした。

EQIの数値は、優劣を示すものではありません。下がったからといって悪いわけでもないし、高ければ良いというわけでもありません。その時々の環境や役割に応じて、必要な力のバランスは変わっていきます。
フィードバックの際にお伝えしているのは、「気になる項目を1〜2つ選び、それを“高める・低める”ための行動を考えてみましょう」ということです。

知花さんの場合、これからのカギになりそうなのが【対人受容力】でした。

コンサル業界では、論理的思考が重視される傾向にあります。その中で自然と感情よりも論理を優先する日常が積み重なっていたのかもしれません。
でも、「ヤドリギのような人」でありたいという想いを実現していくためには、「自己開示(オープンネス)」「情緒的感受性」「状況モニタリング」といった力に、もう一度目を向けるタイミングが来ていたのだと思います。

 

弱さに触れることで育つ、回復力

意外だったのは【ストレス対処】のスコアでした。

見た目の印象から「何でもできそう」と思われることが多い知花さんですが、実は以前のスコアはあまり高くなかったとのこと。そして今回、大きく伸びていたこの項目に関して、ご本人からこんなお話がありました。

 

「昨年の秋ごろから、ずっと自分が世界の中で地に足がついていない感覚と、『私は何者でもない』という思いを感じていました。仕事も忙しくて、まさに“気力”がなくなってしまって……。思い切って長期の有給休暇を取ったんです。迷いもありましたが、職場の皆さんが丁寧にサポートしてくれて、本当にありがたかったです」

正直、とても驚きました。
出会った当初から「しっかりと自立した、凛とした女性」という印象があったからこそ、なおさらでした。

でも、その時間があったからこそ、プロのコーチングやカウンセリングを通して「ストレスと向き合う力」を育て、「自分を信じる力(セルフ・エフィカシー)」にもつながったのだと感じました。

アメリカでは“Thank you for being vulnerable.”という表現がありますが、日本では「弱さを見せるのはいけないこと」と思いがちです。
けれど、人間らしい落ち込みや回復のプロセスがあるからこそ、「ちょっと相談してみようかな」と思ってもらえることもある。
知花さんが語ってくれた経験の【自己開示】は、まさに“ヤドリギのような人”になるための一歩だったのかもしれません。

 

ことばと数値で「今の自分」と向き合う

 

今回、EQI検査とフィードバックを通して、忘れかけていた5年前からの変化がしっかりと起きていることを客観的に見せて頂きました。
振り返ることで気づきが生まれ、対話を重ねることで、これからに向けた課題や行動のヒントが見えてくる。

知花さんが掲げる“ありたい姿”に、着実に近づいていることが、その語りからも伝わってきました。

EQIは、優劣を測るものではありません。
変化したところにも、変わらなかったところにも、それぞれ意味があるのだと…。

だからこそ、定期的に「今の自分」と向き合っていくことで、“理想の自分”が少しずつ言葉になり、かたちになっていく——そんなプロセスを、大切にしていくきっかけにして欲しいとEQIの可能性を感じる時間でした。

 

知花里香 (Satoka Chibana)

Slalom Japan Principal, Transformation capability Lead/アジャイルコーチ
2013年にDeNAでアジャイル開発に携わり、若手育成から300名規模の組織づくりまで幅広い経験を積む。現在はSlalomにて、IT・建設・物流・通信・小売など多様な業界の変革を支援し、現場が自ら成長し続けられる仕組みづくりを支援している。また、社内外でのDEI推進にも積極的に取り組み、2022年には「Women in Agile Japan」を立ち上げオーガナイザーを務める。さらにSlalomシアトル本社と連携し、80名以上の女性リーダー調査をリードするなど、多様なリーダー層と協働しながら持続可能なリーダーシップの言語化と普及に尽力している。

 

国際アジャイルコンソーシアム(ICAgile)認定インストラクター
スクラムアライアンス認定スクラムプロフェッショナル(CSP-SM)
CTI Global認定
Professional Co-Active コーチ
共訳本『コーチングアジャイルチームス』(丸善出版)

 

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