息子を授かった時に決めたことがいくつかありました。
そのうちの一つが、「私と主人だけで子育てしないこと」でした。数年にわたる不妊治療の末に授かった子ども。いったんは「子育てに集中したい」と妊娠時の課長職を辞めていましたが、生まれる前から「どうしたら私達以外の大人にかかわってもらえるのか」「どうやって多様な大人と会える機会を増やすか」を意識的に考えていました。
それは子どもが自分の意思をもち、気持ちを言えるようになり、自ら選択して行動ができるようになってほしいと願っていた私にとって、私(と主人)の価値観だけでなくより多様な視点や価値観に触れてほしいと願っていたからです。そのために取り入れたことの一つが子育てにベビーシッターさんを巻き込むことです。
子どもの世話と家事を外注する
当時まだあまり普及していなかったベビーシッターサービス、保育ママサービスなど、思いつく限りのサービスを試し、自分なりに検証を加えていきました。もちろん、それなりにコストはかかりましたが、それでも得るものが多いと確信し、数人の方と面談をした結果2人の方にお願いすることになりました。私がお願いをしたのは、一緒に宿題や勉強をすることよりも、「もう一人のおうちの人」として様々な経験を一緒にすることでした。一緒に買い物に行く、料理をつくる、洗濯物をたたむ、掃除をするなど普段私ができない(もしくは不得意な)ことを一緒にやり、おしゃべりをしながら時間を過ごして貰いました。その先に見ていたのは、どこへ行っても彼がその場の人間関係を自分で創れるかということへの挑戦です。この2人のベビーシッターさんはそれぞれ得意分野が違ったので、それぞれに「料理」と「掃除」を毎回いっしょにやっていただくことにしました。実は、私のような自営業は毎週必ず夜にも仕事が入っている訳ではありません。シッターさんにお願いしなくても自分が子供といられることも多々ありましたが、私はあえてシッターさんをキャンセルはしませんでした。その代わりにその時間を自分のために使って学びに行ったり、息抜きをしたり、時には近くの喫茶店で仕事をして時間まで待つこともありました。毎週この時間は「家庭外の人と交流する時間」として、それがきっと彼の未来の多様な人達とのコミュニケーション力につながると確信していたからです。息子は二人それぞれに私には言わない(もしくは言えない)ことも話していて、それが彼にとっても、私にとっても大切な機会となっていたのです。
その他にも、息子の子育てにはママ友や近所の方、そして週末にはスポーツを通して多くの大人の方々に関わっていただき、ここ数年は競技人口が少ないウィンドサーフィンの世界に身を置いて、たくさんの方のおかげで動が続けられています(ウィンドサーフィンは道具が大きく、海での競技なために大人がついていないと練習も活動も不可能なスポーツです)。
結果を見据えて今やるべきことを考える
EQ(こころの知能指数)のコンピテンシー*に「結果を見据えた行動選択」があります。
これは、目先のことだけでなく、本来のあり方や本質に従って行動をとる、というものです。目先の感情は認め受け止めながらも、どんな未来を創りたいのか、どんな目的を達成したいのかを見据えて、現在の行動の選択をとる。これも感情を「知性」として扱うEQ(感情知性)の能力の一つなのです。
彼は今18歳ですが、比較的自ら置かれた場で人間関係を構築できるようになっているようです。これまでは親がある程度環境を作っていた場でしたが、これからは自らが環境も含めて創る「場」となります。そんな時に、彼には多様な価値観を自分なりに受け止めて解釈し、自ら切り開いていく人になってほしいなと本気で思っています。
最近つくづく感じるのは「子育ては己育て」です。子どもを育ていることは、そのまま、いえそれ以上に私自身が育てられていると実感しています。
子どもは社会が育てるもの、それはそのまま”己は社会が育てるもの” ですね。
という訳で、今日も息子を含む多くの方との関わりが、私という「己」を育ててくださっています。まだまだ伸び盛り・・・!を信じ、今日もがんばります!
EQトレーナー 池照佳代
株式会社アイズプラス 代表取締役