またまた私事ですが、6年ほど茶道のお稽古に勤しんでおります。茶道というと「固い」「難しそう」「作法がわからない」という声をよく耳にしますが、そんなことはございま・・・す!確かに決まり事が多くて固い面、お点前の所作や種類は多くて難しいと思う面、流派によってお茶の頂き方も異なるため作法も様々という面、世の中の皆さんが抱かれるイメージはあながち間違っていません。ですが、それは、本来の茶道の目的である「人の心を養い、人間の価値を高めるための一つの教えとして学ぶ」という意味からと考えられます。
利休の教え
千利休は茶道の心得を、「四規七則〔しきしちそく〕」と説きました。
「四規」とは和敬清寂〔わけいせいじゃく〕の精神を言います。
和…お互い仲良くする事。
敬…お互い敬いあう事。
清…見た目だけでなく心の清らかさの事。
寂…どんな時にも動じない心の事。
「七則」とは、他人に接するときの以下七つ心構えです。
「茶は服のよきように点て 炭は湯の沸くように置き 冬は暖かく夏は涼しく 花は野にあるように入れ 刻限は早めに 降らずとも雨具の用意 相客に心せよ」
つまり、「心をこめる、本質を見極め、季節感を大切にし、いのちを尊び、ゆとりをもち、やわらかい心を持ち、たがいに尊重しあう」のが大切だということです。
私はこの利休の教えを知った時、これはまさにEQ(心の知能指数)に通じる教えだと思いました。
人の振り見て・・・
この教えをウン十年と学んでいらっしゃる諸先輩方が多く集まるお茶会に参加するたびに私はとてつもない違和感を感じました。大寄せと言われるお茶会は相当数の方が参加されます。一度に何十人も一緒のお茶席に入るため、席が混み合うこともあります。当然、席主の先生は高価で立派なお道具を準備されていますので、前の席やお点前が見やすい席に座りたいのが人情。では、何十人もの人が自分のその感情を優先させたらどうなるでしょう?椅子取りゲームのようになってしまったり、座れない方が出てきてしまったり、悲しい思いをする方が多数でることになります。茶道の精神を何十年も学ばれている方々でもその場になると他人の感情よりも自分の感情を優先させてしまうのです。そのたびに私は心の中で「あなた方は今まで何をお勉強なさっていらしたのですか?」と呟いてしまいます。(怖くて口に出すことは一度もできておりません・・・)
そのような場面に出くわすことは悲しいことですが、そこは気持ちを切り替えて、「人の振り見て我が振り直せ」と自分に言い聞かせるようにしています。
そのおかげで私のEQ24素養の自己コントロールや状況モニタリングは大寄せのお茶会のたびにアップするという好循環が生まれております!(少しイヤミな言い方ですが…)
何はともあれ、日本の伝統である茶道とアメリカで生まれたEQが通じ合っていることは本当に興味深いと思いませんか? 是非、お茶に興味関心を持たれている方は怖いもの見たさでも良いので、一度お茶会に参加されてみることをお薦めします。
樋口しのぶ