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『内から湧き出るモチベーション』~私を“やる気”にさせるものは~

レジリエンスは内発的モチベーションから生まれる

米国Six SecondsにはEQの3つの探求領域『知る=自己認識』『選ぶ=自己管理』『活かす=自己の方向づけ』、そして8つのコンピテンシーがあります。これまでコラムでご紹介したのは、『知る』領域で「感情のナビゲート/自己パターンの認識」、『活かす』領域で「共感力の活用/ノーブルゴールの追求」の4つのコンピテンシーでした。

今回は『選ぶ=自己管理』領域のコンピテンシーから『内発的モチベーション』についてお話ししたいと思います。

モチベーションとは「動機」「刺激」「やる気」などですが、外的な要因…例えば成果が認められて報酬がアップしたり、誰かに褒められたり、温かい言葉をかけてもらったことがきっかけで、達成感が生まれ“気力が高まる”というイメージがあるのではないでしょうか。
しかし、自分が意欲をなくしている時に、タイミングよく「やる気」が出るような出来事が起きるわけではありません。
誰かが手を差し伸べて気力を高めてくれるのを待つのではなく「自分はどのように対処すればよいか」ということを知っていれば、立ち直りが早く、レジリエンス(resilience)力(=ストレスに対する反発力/自然治癒力)が鍛えられるのではないかと思います。 そういった、自分の内側から湧き出てくるモチベーションを『内発的モチベーション』と言っています。

笑いがもたらす効果

就学前の子供は1日に300~400回笑い、成人を過ぎると1日15回までに激減すると言われています。
本当にそんなに笑うのかな、とも思いますが、確かに、お揃いの帽子をかぶって散歩をしている園児たちを見ると、なにがそんなにおかしいのかと思うほど、ケタケタと笑い続けています。なんとも癒される光景です。
年齢を重ねると、初めて見たり聞いたりすることが少なくなってきて、ちょっとやそっとのことでは驚いたり感激することがなくなってしまうので、「笑い」の回数が減ってしまうのかもしれませんが、「笑い」にはさまざまな効果があります。
体調や精神面に影響し、ストレスから解放されるとも言われています。
声を出して笑うまでではなくても、笑顔を作るだけで自身の気持ちが穏やかになったり、話している相手の表情もやわらかくなったりするのです。

ある日、久しぶりに母と口喧嘩をしました。母はたまに昔のことを持ち出して愚痴をこぼすのですが、私は何度も同じ話を聞いているので、少々うんざりしていました。
それまでは、早くその場をやり過ごしたいので、無言で聞き流すか、反抗的な言葉を返して険悪な雰囲気を作っていましたが、その日は違いました。
母の真意をくみ取る時も、私の考えを伝える時も、常に笑顔で話したのです。すると、次第に母の口調が穏やかになり、私も「そういうことだったのか」と改めて知ることもありました。

翌日、母が「昨日はいろいろ言い合ったけど、話しができてよかった」と言ってきた時には、一歩前進したような気がしたものです。

笑顔は、自分の気持ちを落ち着かせたり、相手の心を開いたりする効果があることを身を持って知った出来事でした。
意見が異なる相手や、苦手なタイプとの会話はできれば避けたいところですが、それでは仕事が進まなかったり、問題が解決しないこともあります。
笑顔で会話をすることで、次第に理解し合えるようになると、達成感のようなものが生まれてきたりします。

自分のモチベーションを上げるには?

“笑顔を作ること”で、良い人間関係を築くことができ、目的や目標を達成できるのであれば、それは私の『内発的モチベーション』の上げ方かもしれません。

他にも、自分の感情スイッチを切り替えたい時、緑の多い公園を散策し、天に向かって伸びる木々を見上げることがあります。何十年も何百年も生き抜いてきた木々に比べれば、目の前で起きていることが、とっても小さく見えてきます。

また、複数の案件を抱えて思考を整理しなくてはならない時には、パソコンの前を離れ、近所のホームセンターに行くこともあります。
整然と並べられた資材や工具を見て回るだけで、自分の頭の中も整理されていくような気になるのです。
自分の仕事と直接結びつくわけではないのに「コレとコレを使うと何かできそう」などと想像を膨らませていると、あっという間に時間が経ってしまいます。
『内発的モチベーション』は、時が経つのも忘れて夢中になれること…とも言われますから、ホームセンターは、私をワクワクさせてくれる居心地のいい場所と言えるでしょう。

自分は「どんな人やどんな場所に癒されるか」「どんなことにワクワクするか」「どんなことに喜びを感じるか」などを思い起こすと、自分の『安心領域』が広がります。

そして、その『安心領域』を知っておけば、感情が乱れたり落ち着かない時、気力がなくなった時に、自身でモチベーションを上げることができるようになるのではないでしょうか。

株式会社感性労働研究所
宮竹直子