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Six Secondsコラム【医学部に居る間にEQ(心の知能指数)が下がる?】

医学部に居る間にEQ(心の知能指数)が低下する?
ー米国リバティ大学のリサーチが注目する、ドクターのEQ(心の知能指数)スキル向上の必要性ー

最近のAmerican Osteopathic Associationの記事によると医学部と言う学びの場が未来のドクターたちのEQ(心の知能指数)をむしばんでいるようです。
多くの研究結果が、EQ(心の知能指数)がプライベートとキャリアの両面で医師を成功に導くことを示唆しているのです。米国リバティ大学でこの研究を行ったリンダ・ミントル博士はこの調査結果と改善への対応策を述べています。まずはじめに、医療業界においてEQ(心の知能指数)への関心が再度高まることになった研究結果を見てみましょう。

ドクターのEQが患者の病気に影響する

多くの研究結果がドクターのEQ(心の知能指数)が単に”必要なもの”ではなく、患者の病気や健康に直接的に影響を及ぼすことを示しています。「患者のケアのためにもドクターは医学的知識以上のものを必要とされている」とミントル博士は言います。ドクターにとってEQが重要なのはなぜか。なぜならEQとは自分自身や他人の感情を適切に認識し対応する能力だからです。共感し、自分自身や他者をやる気にさせ、意味ある関係を構築します。

米国フィラデルフィアのジェファーソン医科大学の糖尿病患者に関する研究をご紹介します。
この研究では891人の糖尿病患者が29人の異なるドクターによって治療を行いました。ドクターは共感力の評価を行い、研究者は客観的な患者の健康データと比較して医師の共感スコアを分析しました。
何を見つけたと思いますか?
血液中のヘモグロビンレベルで測定されるドクターの共感スコアと患者の健康状態との強い相関関係が分かりました。
リバティ大学での研究やこのような研究が医療の現場でのEQ(心の知能指数)への関心を再び高めています。

さらにリバティ大学の研究では62人の医学生にオリエンテーションの日にEQ検査を受けてもらいました。そして2年目にも同様に検査を行いました。医学部は将来のドクターたちのEQ(心の知能指数)にどのような影響を与えたのでしょうか。

学生のEQをむしばむ医学部

研究結果によると医学生は入学時よりも卒業時にEQ(心の知能指数)が低下していることが分かっています。8つのEQコンピテンシーのうち6つは低下し、2つはそのままという結果が出ました。8つのコンピテンシーについてはシックスセカンズ社のEQモデルを参考にしてください。
低下したスキルは楽観性の発揮結果を見すえた思考共感力の活用でした。

患者の命にかかわるような決断を下す医師の楽観性や共感力が患者の健康データ結果にリンクしていることを考えるとこれは警戒すべき発見です。残念なことにこれは医学部が精神的、肉体的、感情的な健康に悪影響を与えると言う単なる発見ではありません。Journal of the American Medical Associationの2016年のメタ分析では医学部生の27%がうつ病または抑うつ症状に苦しんでいると報告しています。

医学部生は頻繁な心的プレッシャーの高い試験に加えて、週に70時間の臨床現場ローテーションと言う時間的に厳しい要求に直面します。これにより学生は十分な睡眠、健康的な食事、定期的な運動に十分な時間を確保できなくなります。また、多くの学生は自宅から離れた場所で支援も満足に受けられておらず、初めて死に直面するなどの独特の強いストレスに対処しています。これらは全て極めて厳しいメンタルヘルスの課題であり、患者にケアを提供すべきドクターの社会的感情性の低下につながるのです。

ミントル博士によると「EQの高いドクターを育成するには、EQがいつから低下し始めるのか、医学部が始まる段階でEQの理解と発揮度がどれくらいか知ることが重要です。そうすることで今後、EQトレーニングをカリキュラムに組み込むことが出来ます。コーチングへの応用の可能性を考え、トレーニングや開発に適しているSix Seconds SEI評価を用いることにしました。」これにより、EQを理解し、行動を起こし、成長に繋がるためのEQ発揮を促すためのフィードバックを得られます。Liberty大学のミントル博士は、このとコーチングを組み合わせて、学生が医学部に居る間にEQの理解と発揮(スコア)を上げるのに役立てたいと考えています。

注)このコラムは許可を得て、Six Seconds社コラムを意訳しています。
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