不安は過去30年間で25%増加しています。これは私たちの脳と体に何を及ぼしているのでしょうか? 神経科学と行動心理学の分野における最新の研究から、不安が及ぼす影響について7つの興味深い事実を紹介します。
1.不安が脳と体の注意力を使い果たす
人はストレス反応システムが活性化されると、体と心はほぼ全てのプロセスを停止します。身体的には、長期にわたる免疫、生殖、消化器系が停止してしまいます。精神的には高次思考ー共感と分析の能力ーもシャットダウンします。なぜこんなことが起こるのでしょう?それはストレスにおけるメッセージが脅威が存在すると認識すること。その場合、他のことは一切重要でなくなります。危険に対応する準備をしているだけなのです。危険を目の前に消化などはどうでもよくなり、注意力とエネルギーは全て不安に持っていかれてしまうのです。
2.不安は新しい脳細胞の細胞を妨げる
新しい細胞を生成する脳の能力は、神経新生として知られています。最適な脳機能と精神的健康を維持するために不可欠な機能です。神経新生を促進するものは何でしょうか?研究では、新しい脳細胞の成長を促進する5つの活動を特定しました。これについては、「Staying Sharp:5 Ways Boost Your Brain Power」の記事で説明しています。神経新生を妨げるものは何でしょうか?それは継続的な不安です。 Biological Psychiatryで発表された2017年の研究によると、ねずみでは、ストレスが長時間続くと神経新生が著しく阻害されることがわかりました。不安は、長期的な繁栄ではなく、短期的な生存に注意を集中させる傾向にあります。
3.頻繁な不安は脅威検出システムを敏感にする
私たちの脳には脅威を検出し、即座に反応する驚くようなシステムがあります。しかし、このシステムには、不安を悪循環に陥れる興味深い側面もあります。脅威を認識すればするほど、脅威検出システムが敏感に働くようになってしまうのです。この進化には勿論利点もあります。脅威が多く存在する環境に住んでいる場合、脅威に敏感になることは理にかなっています。問題は、知覚される脅威についてです。それらが現実のものであるかどうかにかかわらず、知覚する脅威が多いほど、何かを脅威として反応してしまう可能性が高くなってしまうのです。
参照)Video: How do you deal with rising stress?
4.人の表情の変化を読み間違えやすくなる
イリノイ大学の調査によると、不安のある人は他人の表情の変化にすぐに気づきますが、その人の感情を正確に読み取る精度は低くなります。非言語的コミュニケーションがコミュニケーションの少なくとも半分を占めていることを考えると、これは不安を抱えている人々にとって大きな問題であり、それが自然に人間関係の問題にもつながります。この研究は、感情的なリテラシーを高め、共感を高めるEQスキルと不安が逆の関係にあることを示します。
5.不安は過去のパターンに陥りやすくする
ストレスがたまると、脳は安全を求め、以前にやったことをします。既知の予測可能なものに従うと言う「天然ヘロイン」の化学物質が出てきます。もちろん、中毒性もあります。EQ(こころの知能指数)を慎重に開発しなければ、この大昔の自動反応に戻ってしまうのです。不安は私たちの高次思考を停止し、以前に脳に記憶された行動パターンに依存するようになります。
6.全てを悪臭に感じさせる
Journal of Neuroscienceに掲載された研究によると、不安な人は中立の匂いを悪臭と分類する傾向があります。これは、不安を感じているときに嗅覚系と感情系が絡み合うために起こるようです。今まで挙げた不安に関する他の事実に加え、不安は私たちが知覚していることについて迅速な判断を下すが、その速度の対価は正確性というパターンに現れているようです。脅威に直面したときはもちろんスピードが重要です。しかし対価もあると言うことを忘れてはいけません。
7.身体的な痛みにつながる恐れがある
脳が脅威を感じると、コルチゾールやその他のストレス関連の神経ホルモンが身体に溢れます。これらのホルモンは、身体的な反応に繋がります。変化の症状には、胸の締め付け、頭痛、吐き気、筋肉の緊張、および胃の問題が含まれます。これは不安が起こす悲しい側面ですが、不安を感じているときの早期のリマインダーとしても機能するとともに、EQ(こころの知能指数)を実践する機会です。
注)このコラムは許可を得て、Six Seconds社コラムを意訳しています。本文はこちらからご覧ください。