娘たちの学校は新年度が始まって1カ月が経ちました。
コロナ発症者の多かった州のほとんどで、オンライン授業での新年度開始となりました。
今後学校がどうなるのか、と夏休み中は私を含め多くの家族が不安を抱えて過ごしていましたが、娘たちの学区はオンライン授業になることを予め想定して動いてくれていた先生や学校関係者のおかげで、急遽オンラインになった春とは比べ物にいならないほど充実したオンライン授業が行われています。
オンライン授業で挑む【感情教育】
新年度が始まる前に学校の方針や今後についてを校長先生が説明するZoom集会が開かれました。
そこで校長先生が強調していたのはSELの重要性でした。
SEL(Social Emotional Learning)とは社会性や情動スキルの教育のことで、子供たちの感情を尊重し、自己理解・他者理解・感情のコントロールを学びより良い関係性の構築や意思決定に繋げていく教育のことです。
まだアメリカ国内全ての学校に行き届いている訳ではありませんが、多くの学校でSELが子供たちの将来に役立ち、学力向上や行動の指針になることを理解し、何かしらの方法で子供たちにSEL教育を促しています。
去年長女のクラスで学んでいた【成長型マインドセット】もこのSELの一つです。
オンライン授業でどのように子供たちに感情を伝えていくのかと疑問でしたが、
蓋を開けてみると、日本の教育に慣れ親しんだ私にはとても新鮮で、文化の違いや個性を興味深いものばかりでした。
私がEQに初めて出会ったとき時に感じた「EQは子育てや教育に必ず役立つ」と言う思いが、このSELに詰まっていました。
こちらは2年生の次女のSELの時間。
子供たちは「SELやるよ~!」とは言われておらず、
朝の会の延長で始まります。
始まって2週間近くは「どんな感情がある?」
「今の気持ちはどう??」「感情はその日、その時によって全然違うものになるよね?」
など基本的な感情について、子供たちも手を挙げながら答えていました。
今は一カ月近く経ち、感情がどのように体に影響を与えるのか、自分の感情をコントロールするにはどうしたら良いのかなど意見を交わしながら、どうすることで自分が一番良い状態になれるのか、お友達や先生、家族たちと気持ちよく過ごせるのかと他者理解も含めて話しています。
画面越しで最大限の交流を!
Zoom疲労と呼ばれるように、大人にとってもオンラインで仕事や学びを続けることはストレスが溜まります。
子供にとってはどうでしょうか。
お友達と思いっきり遊び、共に教室で学び、五感をフルに使った交流を持てない事の精神面や学習面での弊害は計り知れません。
そんな中でのSELの時間は正解のない活発な意見が飛び交う時間。
気持ちが良いほどいっぱい手が上がり、皆それぞれに「こんな気持ちになった!」「そんな時はこうしている」など話をしたり、先生も皆の感情をチェックして底上げするような寄り添いを見せてくれています。
先生方も画面越しでも最大限の交流と巻き込みを目指し、「Virtual Hug!」「Virtual Handshake!」などキャッキャと嬉しそうな声をあげながら画面越しの皆にハグをしたり、皆で音楽に合わせて運動したりする時間も取り入れています。
高学年になるとこの様子はまた違ったものになってきますが、こちらはまた別の機会にお伝えしていきます。
人生は感情のローラーコースター
この夏、コロナを筆頭にアメリカではもともと根深かった差別問題も更に身近なものとして前面に押し出され、それに伴い多発したデモ。そして、今は山火事やハリケーンで苦しんでいる人たちが沢山います。経済的な問題で治安が悪化している場所も多いです。大人であっても次から次へとやってくる穏やかではない状況に感情がローラーコースターとはこのことかと思い知らされるような日々を過ごしています。
アメリカは貧富の差が大きく、学区の良さと不動産価格は比例する傾向にあるので、地域によってはコンピューターの支給ができなかったり、オンラインで授業が行えない環境にある子供たちもいます。
そんな中でも子供たちの安全を最優先にオンライン授業を選択し、生徒全員にパソコンを貸し出した学校。
そして精いっぱいの授業を提供してくれている先生や学校関係者の皆さんには頭が下がる思いです。
オンラインのおかげで私にとっては今一番関心を抱いているSELを娘と一緒に学べることをありがたく感じながら、感情教育のヒントや若い世代のEQについて皆さんとも共有していきたいと思っています。
EQ+LAB.編集長
杉山夕希子
EQ+LAB.では皆様に気軽にEQについて知って頂ける場として、インスタグラムを開設致しました。
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