コラム 全ての記事 編集長、シリコンバレーに行く!

ニューノーマルと向き合うーロックダウンから一年ー

EQ+LAB.編集長の杉山です。

娘たちの学校はコロナの蔓延に伴うオンライン授業を開始して今週で1年。
その間幾度となく外出禁止、自粛を行ったり来たり、制約のある日々を過ごしてきました。
ここシリコンバレー周辺もようやく明るい兆しが見え始め、徐々にハイブリッド授業(※1)を始める学校が出てきています。娘たちの学校もあと一歩。ようやく来週から学校再開です。

ユニセフの今年3月の発表によると学校に通う子供たちの90%が期間の長短はあれどコロナの影響を受け、そして世界の3分の1の学生がオンライン授業と言う選択肢もなかったと言います。コロナと言うウィルスが与えたのはウィルスにかかり体調をくずすと言う肉体的な問題だけでなく、精神的な健康やウェルビーイングを危険に晒しました。そして、ニューノーマル、ポストコロナと言われ始める今、学校再開は明るいニュースではありますが、更に精神面での問題は手を差し伸べなければ悪化するだろうと専門家たちは指摘しています。


心の声が選択肢を広げた

娘たちの授業がオンラインで始まったころ、
「オンラインで勉強はついていけるの?」「日本に帰ってきたら?」「子どもたちが可哀そうだよ」
私たちを思って言ってくれている声に胸がざわめきました。
コロナと言うウィルスに対する考え方が家族内で異なる、会社と食い違う、リモートワークにして貰えなくて仕事を辞めたいなど、相談も沢山ありました。他にもコロナ禍で思うように子供を遊ばせてあげられない、仕事が見つからない、解雇されたなど悲痛の声も聞こえてきました。

外出自粛生活が始まって数カ月は、私も心が折れそうになることもあり、息が詰まりそうになったり、戸惑うこともありました。更に根強い人種問題、最近ではアジア人に対する暴力や嫌がらせも各地で起きました。
子供たちを、そして家族を守らなきゃと強く思うあまり、自分の感情はまさに「ローラーコースター」状態。そんな日々を救ってくれたのはEQでした。
学校、そして地域から来る多くの情報が「感情とどう向き合うか。」と言う話題ばかりで、こんな形でEQに脚光が集まることになるとは思ってもみませんでしたが、日本では聞きなれなかったEQと言う言葉を耳にした方も増えたのではないかと思います。
このままではいけない!自分の感情に振り回されたくない!
これが私にとってEQの学びを深めたいと思わせてくれるきっかけになりました。

自分の感情と向き合うことが苦手だった私が、自分の心が喜ぶこと、機嫌が良くなることを見つけ、やって行くと今までと心の声が変わっていくことに気づきました。今までの声は「それはちょっとやめておいたら…」「それは出来ないでしょ」「失敗するのは恥ずかしい」と歯止めをかけるものばかりだったのに、「まだ出来ないだけ!」「出来るかどうかやってみよう」「誰も人のことはそんなに気にしていない!」と心の声が目の前の選択肢を広げ、よりなりたい自分に導いてくれるようになっていきました。

 

自分の感情と向き合うと、周りが変わる

 

沢山の方が命を落とし、今もなおこのウィルスと戦ってることを思うと胸が痛みますが、この一年で得られたものも多くあったのではないでしょうか。

我が家は、私がEQの学びを深め実践し始めたことで、それが子供たち、そして夫にも変化を及ぼしました。EQ+LAB.の編集長をしているのだから、EQ漬けの毎日です。EQの資料を読み、動画を見て、沢山の本やコラムニストの方たちからも学びます。でも、頭でいくら理解していても、EQを高める為にそれをアクションに移すかどうかは別物です。私はとにかく自分の気持ちを話すようにしました。「この講座を受けてみたいけれど、英語力が自信がなくて怖い、緊張する」「この本はすっごく心がワクワクして、お話に引き込まれて行ったよ」等、たわいもない事なのですが、自分の気持ちを言いました。ムードメーター(※2)についても話したり、感情について自分が学んだことを共有することもあったし、ニュースを見ながらも事実よりも感情を話すようにしていました。些細なことでしたが行動に移したことで数カ月すると周りが変わっていきました。助けたいと思っていたのに、助ける必要がなくなりました。

先日、日本のニュースを見ていた長女がこんなことを言っていました。
「自粛疲れが出て来て、ちょっと友達と飲みに来ました!」と言っていた大学生のコメントに対して、
「なんで疲れちゃうんだろうね?自粛生活も考え方を変えたらとっても楽しい時間になるのに。。。私はこの1年嫌じゃなかったよ!」と。
そして共感ってこんなことだね、この本は多様性について書いてあるね、親切にするってどんなこと?などと話している姿を見て、これが学校でSELを受け、私のEQの学びに付き合ってくれた結果かなと思えた瞬間でした。

 

子どものために、大人が知る

先日、ありがたいことに何人かの先生、未来の先生に向けてSELについて話す機会に恵まれました。その時に強く感じたことは子どもを取り巻く全ての大人がEQを高めることでより良い世界になるという事です。
SELがあるのは子どもの為です。子どもたちが感情をスマートに使いこなし、より良い人間関係構築やより良い意思決定に導いてあげる教育ではありますが、それを教える先生がたもSELを学ぶことで自分の気持ちと向き合い、生徒と心を通わせることが出来るようになっていくのです。子供たちの理解者になれるのです。
私も家族でEQ生活を送ったことで、いくら子どもたちがそれを学校で学んできても、EQを知り、それを高めてあげる環境を作らなければ最大の効果は上げられないということを感じました。そして子ども達を観察しながら、大人は年を重ねるにつれていかに自分の感情を抑え込む術を知ってしまったかと思い知らされました。だからこそ、学校からSELの内容が送られてきたり、SELを授業のベースにしている学校では定期的な親御さん達へのEQ研修が行われているんだなと思います。

オンライン授業が一年も続くとは思っても見ず、心配された方が居たように、間違いなく学習面では遅れが出ているでしょう。でもこの窮屈な生活を耐え過ごしたこと、その期間中も人生にとって大切な学びがあったことは学習面よりも大切だったのかなと今は思っています。

コロナが始まったころ、よくこんな言葉が聞かれました。
”We are on the same boat.”(みんな同じ状況にいるよ。)
でも実際は、
”We are in the same storm, but not in the same boat.”
(同じ嵐の中にはいるけれど、同じ状況ではない。)
同じコロナと言う嵐の中にいたけれど、同じ状況でも同じ立場でもないということ。

これから始まる新たなニューノーマルの生活はどんな道のりになるのか分かりません。娘たちも学校再開に喜び、興奮すると共に、まだまだコロナと言うものに対する恐怖や不安を感じ、大人たちがピリピリしている姿を敏感に感じ取っています。私も親として、必要な時は立ち止まりながら、自分と子供たちの感情と向き合って歩んで行こうと思います。

(株)アイズプラス
EQ+LAB.編集長
杉山 夕希子

※1 ハイブリッド授業
様々なハイブリッド授業の形がありますが、対面とオンライン授業の選択制を指すことが多いです。
うちの娘の学校は希望者は対面ですが、学校内でオンライン授業を引き続き行う形で、お昼ごはんはなし。午後は帰宅して引き続きオンライン授業を行っています。
※2 ムードメーター:
アメリカ イエール大学のEI(感情知性)センターのマーク・ブラケット氏が開発したエネルギー×フィーリングを4色の色と100個の感情の言葉で表現したチャート
詳しくご覧になりたい方はこちらの記事を参考にして下さい。
Six Secondsコラム【感情の力を解き放つ】

SEL(感情教育)についての過去の記事はこちら★
感情の持つ学習効果
オンライン授業で挑む【感情教育】
成長型マインドセットを学ぶ子どもたち
欧米では当たり前?感情教育ってなに?

EQ+LAB.はインスタグラムでもEQに関する情報を配信中です。
こちらも是非ご覧ください。 @eqpluslab
https://www.instagram.com/eqpluslab/

 

コメントを残す