コラム コラムニスト 三森朋宏

「働き方改革」「生産性向上」のカギ

「働き改革」ということが、言われるようになって2年以上が経ちますが、実際に改革は進んでいるのでしょうか?そもそも働き方改革は、「残業を減らす」とか「休みを取る」と言った「働かせ方」を変えることとは本質的に違います。働き方改革は、「生産性を高める」、との結果として残業が減り、休みが取りやすくなることですが、現状は「生産性を高めること」が進んでいないのではないでしょうか?

実は今世界的に生産性を高めるカギとして注目されているのが「EQ」です。

EQと生産性に相関が認められる研究が海外では多く報告されており、最近ではGoogleをはじめとするシリコンバレーの多くの企業がEQ(心の知能指数)を取り入れることで躍進しています。

例えばGoogleが生産性を向上するカギとした「心理的安全性」の記事があります。
この記事の中にはどのように心理的安全性を高めているかは書かれていませんが、実はイエール大学のEQの権威であるデビット・カルーソ博士が世界中を周りEQをベースにしたリーダー教育を直接行っているのです。(記事になっていませんが、直接お聞きした話です。)

では、ここ日本ではどうでしょうか。
EQを人材育成に取り入れたり、EQをベースにしたリーダー教育は本当に必要なのでしょうか。その裏付けとなるデータによる根拠をご紹介しましょう。

EQスコア最下位の日本

残念なことに、日本のEQは世界最下位であることを示すデータがあります。さらにメンタルヘルスや幸福度も中央値を下回っており、生産性を高め、ライフワークバランスも得ようとする働き方改革が進むはずもありません。

さらに日本人のEQスコアを分析した記事によれば、
「40代50代ともに男性のManagement(中間管理職)は、低い方に多く分布し、正規分布から大きく外れてやはり未開発レベルの割合が大きくなっています。一方で、女性のManagement(中間管理職)は、正規分布にやや近い分布を示しています。」

と残念な結果を示しています。
参考記事の全文はこちら

20-30代の生産世代、それを管理する40-50代の管理職のEQが低いとなれば、日本がEQ世界最下位に加えて、深刻に受け止める必要があるのではないでしょうか。

ここまでご紹介した記事を関連付けるとEQと生産性との相関があり、日本企業の多くの職場では、生産性が低いことが容易に想像できます。また、管理職や従業員のEQが低いことから、職場の「心理的安全性」も低いことが想像できます。

世界的な有名企業では、EQがビジネスに有効なスキルとして広く認知されているのに対し、日本企業ではどうでしょうか。ほとんど認知されていなことをこの記事を読まれている方なら直感的にわかるはずです。

世界経済フォーラムの2016年ダボス会議では、2020年に必要なスキルの第6位にEmotional Intelligece (=EQ)が挙げられています。
https://www.weforum.org/agenda/2016/01/the-10-skills-you-need-to-thrive-in-the-fourth-industrial-revolution

今後の世界競争力をつけるためにも、本気で「働き方改革」「生産性向上」を考える人事担当者、育成担当者の方はEQの専門家に一度相談してみてはいかがでしょうか。

 

シックスセカンズジャパン アドバンスドEQファシリテーター
データ分析センターフェロー
三森 朋宏